アメリカの大学留学にかかる費用
アメリカの大学留学にかかる費用の項目ごとの割合の一例を示すと、下図のようになります。
大学留学には、授業料(学費)や寮費・食費、教材費などがかかります。そのうち、最も大きな割合を占めるのが授業料です。
しかし、奨学金を得られれば、授業料はいくらか減免されます。とくに私立大学は留学生に奨学金を出してくれる傾向が大きいので、大学が提示している金額を絶対に支払わなければならないと考える必要はありません。奨学金については、後の「留学生でも返済不要!奨学金情報」で説明します。
寮費・食費の出費は全体の2割程度です。アメリカの大学生は寮生活をするのが一般的なので、寮費・食費=滞在費と考えていいでしょう。アメリカの大学へ留学する場合、留学費用は「学費+寮・食費」がまずは基本になります。
アメリカの大学の授業料(学費)
「授業料(学費)」は、英語で「Tuition」といいます。アメリカでは、大学ごとに「1年度(9月から翌年5月)につきいくら」という形で授業料を設定しています。
ここで、アメリカの大学の授業料の例をいくつか見てみましょう。
アメリカの大学における1年度あたりの授業料(2023年度) |
大学名 |
種類 |
州 |
授業料 |
スタンフォード大学 |
私立 |
カリフォルニア州 |
61,371ドル (約926万円)
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ハーバード大学 |
私立 |
マサチューセッツ州 |
54,269ドル
(約814万円)
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カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) |
州立 |
カリフォルニア州 |
47,052ドル (約706万円)
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エンポリア州立大学 |
州立 |
カンザス州 |
14,850ドル (約223万円)
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アヴィラ大学 |
私立 |
ミズーリ州 |
38,762ドル (約581万円)
|
このように授業料は大学によって異なりますが、アメリカの大学の授業料は年間50,000ドル以上かかることがほとんどです。4年間の留学となると、平均で200,000ドルもの学費がかかるため、「アメリカの授業料は高い」という考えが一般的です。とくに私たち留学生にとっては昨今の円安によって、より「高くなった」のが実状です。
だからこそ、奨学金の可能性や留学費用の節約方法を、積極的に探っていく必要があるといえるでしょう。工夫次第で、留学費用は節約できます。
なお、アメリカの大学の学費は私立より州立のほうが安いとは限りません。
州立大学の学費が安いのは州民(その州に住んでいる人)の場合です。留学生は、州民より2〜3倍以上も高い授業料を支払う必要があります。
たとえば、上記の表で紹介した「カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)」も州立ですが、年間約47,000ドルという高額な授業料が設定されています。しかもUCLAは留学生には基本的に奨学金を出してくれません。州立大学はあくまでも「州民優先」が基本的なスタンスです。
また、地域によって授業料に差が出ることもあります。東部(ニューヨークやボストンなど)や西部(ロサンゼルスやシアトルなど)の都市部に比べると、中西部や南部のほうが、大学の授業料は安い傾向にあります。
寮費・食費
アメリカの大学では、寮生活が中心となります。
アメリカの大学の寮・食費に関する1年度の平均額(2022年度)は、私立大学で14,030ドル(約210万円)、州立大学で12,130ドル(約182万円)です(College Boardより)。大学によって額は異なりますが、授業料ほどのバラつきはありません。
寮費・食費以外の生活費については、「そのほかの費用」で解説します。
教材費
アメリカの大学の教材費(Books and Supplies)は、年間平均は、1,200~1,500ドル(約18万円~23万円)くらいです。教科書は、ハードカバーで百科事典のように分厚いものが多く、1冊80~100ドル(12,000円~15,000円)ほどの価格となります。
日本の教科書に比べると「高い」と感じるかもしれませんが、中古の教科書はこれより安く、80ドルの教科書が50ドル(7,500円)くらいで売られています。中古の場合は、教科書内の重要な部分にアンダーラインが引かれていることもあり、学生たちに人気があります。
教科書は各大学の購買部(bookstore)で買えますが、最近は中古も含めてオンラインで買う学生が増えています。 教科書自体もどんどんデジタル化されているので、どのタイプが自分に合っているか、見きわめて選ぶとよいでしょう。
なお、教材費は専攻によって異なります。アート系の専攻では画材などに、サイエンス系の専攻はリサーチなどに、工学系は材料費などにお金がかかる傾向があります。
また、大学によっては教科書を「レンタル」することも可能です。
保険費
アメリカの大学では、すべての在学生に医療保険の加入を義務づけています。大学が提携している保険会社の保険プランへの加入を勧められます。
ただし、留学生の場合は留学生保険(海外旅行傷害保険)に入っていれば、加入を免除されることもあります。
アメリカの保険のシステムはとても複雑で留学生にはわかりにくいので、留学して最初の年は日本の留学生保険に加入するのがいいでしょう。
アメリカの大学に留学する場合、会社やプランによって異なりますが、年間20〜30万円くらいが一般的です。
大学留学の保険について、詳しくは以下のページもご覧ください。
留学生の「保険」について:安心して留学生活を送るために
渡航費(往復)
渡航費については、出発時期やエリアによって異なります。日本とアメリカを往復する航空運賃は、15〜30万円ほどとなっています。
飛行機代は、予約のタイミングやシーズンによって大きく変動するので注意が必要です。「航空券を早めに予約する」「学生向けの格安航空券を探す」などして、自らリサーチを進めましょう。早めの予約が肝心です。
諸手続き費用
パスポートやビザの準備も、留学のために必要です。これらの申請費として、5~10万円ほどかかります。
なお、パスポートの取得には、一般旅券発給申請書や戸籍謄本、写真などが必要です。役所でなければ発行できない書類もあり、申請から取得までに時間がかかるため、早めに行動しましょう。
また、アメリカに留学する場合は、学生(F)ビザが必要です。大学留学が決まると学校側から入学許可証(I-20)が届くので、ビザの申請手続きを行ってください。
そのほかの費用
アメリカの大学では基本的に寮生活を送ります。そのため、日常の留学生活において交通費がかかることはほとんどありません。
また、日用品の購入や交際費として、毎月100~200ドル程度かかると見ておくといいでしょう。日用品はキャンパス内の購買部や町のスーパーマーケットで、日本と同程度か少し安い値段で購入できます。
洗濯は寮の地下にあるコインランドリーで行えます。使用料は1回につき数ドル程度です。
通信費は、PCについてはキャンパス内のWi-Fiを無料で使えるためかかりません。スマートフォンについては、日本から持ってきた機種をそのまま使う「国際ローミング」という方法がありますが、通信費がかなり高くなるのでおすすめではありません。
日本から持ってきたスマホに現地のSIMカードを入れれば、月額30〜60ドルほどで、アメリカでも問題なく利用できます。
ただし、古い機種だと「SIMロック」がかかっていて、海外のSIMカードが利用できないケースもあります。渡航する前に確認しておきましょう。
寮に住んでいると、財布を一度も開かない日すらあります。個人差はあるものの、アメリカの大学生は日本に比べ慎ましい生活を送っているといえるでしょう。
また、「寮ではなくアパートで暮らしたい」という人もいるかもしれません。ただし、アメリカは日本のように公共の交通機関が整っていないので、車を使って移動することになります。車の購入費・保険・ガソリン代を合わせると、それなりの金額になってしまいます。
最近はUberを利用する学生も増えています。寮で生活しながら、ちょっとした移動は友だちの車に乗せてもらったり、ときにはUberを利用する、というのが一般的です。
アメリカ留学でのスマートフォン事情については、以下のページもご覧ください。
アメリカに留学するとき、携帯電話/スマートフォンはどうすればいいのか?【最新版】