アメリカ留学の費用の現実 ~大学選びはお金が基準~
アメリカ留学の大学選びは「お金」が基準
今回はアメリカの大学への留学費用について話してみたいと思います。
留学カウンセリングをしていると、「どのような基準で、たくさんあるアメリカの大学から自分(あるいは自分の子ども)に合った大学を選べばいいのですか?」という質問をまず受けます。
行きたい地域や気候(暖かいところがいいと言う人が多いのですが)、学びたい分野、大学名へのこだわり、等々いろいろあるのですが、いまはなんといっても「費用」です。
アメリカの大学の学費があまりに高いので、留学費用を第一に考慮して大学を選ばざるを得ないのです。
お金の話が苦手な日本人
そこで、「どのくらいの予算を考えておられますか?」と聞いてみるのですが、日本人はお金の話をするのが苦手で、また、子どもの前で話すのもイヤなようで、「何も考えていません」と言う人がけっこう多いのです。
そうすると、限られた留学カウンセリングの時間で、さらにその後に予約がぎっしり詰まっていたりすると、具体的な大学選びまで落ち着いて話ができません。
そこで、「アメリカで1番費用が高い大学が、だいたい1年に7万ドル(学費+寮・食費)ですから、日本円にして約700~800万円、それに教科書代やら保険やら交通費を加えると900万円くらいになりますが大丈夫ですか?」と、つい意地悪な聞きかたをしてしまいます。
「大丈夫です」と言う人もまれにいますが、ほとんどの人は「それはちょっと・・・」と途方に暮れてしまうのです。
カリフォルニアへの留学にいくらかかるか?
州立のUCLAですら約55,000ドルですから。。。California State Universityでも約35,000ドルです。
「安い安い」と言われるコミュニティ・カレッジにしても、寮がなければホームステイ代も高く(先日、コミュニティ・カレッジをやめて帰国してきた学生が言うには、1,400ドル/月だったそうです)、外でコーヒーを飲んだり食事をしたりするので、年間3万ドルくらいかかります。
カウンセリングでこういう話をすると、皆さん「ウーン」と唸ってしまうのです。
まったく、私だってこんな話、したくないんですよ。
でも、「カリフォルニアの英語学校に1年通ってから、コミュニティ・カレッジを2年で卒業して、四年制大学に編入できたけれど、お金が予想以上にかかってしまって、大学に行けない。どうしたらいいか?」っていう相談が本当に多いのです。
しかも州立大学は、留学生にはあまり奨学金を出してくれないのです。
カリフォルニアの私立大学の費用は、年に5~7万ドルです。私立も、お金持ちの中国人がわんさと来るので、留学生に奨学金を出すことになかなかしぶいのです。
日本人留学生の奨学金事情
「うちの研究所から留学している人の予算は年間300~400万円くらいが多いですね。地方から東京の私立大学に通うと、それくらいのお金がかかるというのが根拠になっているようです」というあたりで、やっと具体的な数字が出てきます。
もちろん、「家から国立大学に通わせる予定だったので年100万円くらい」とか、「250万円くらいなら何とか」等々、人によって留学予算もさまざまです。
あまり英語力も高くなく、クラスメイトや先生に親切にしてもらわなければ留学を乗り切っていけないような人は、できるだけ小規模で寮のしっかりした大学が適しているのですが、そういうタイプの大学で年に5万ドルくらいです。
あの手この手で奨学金を得る努力をしても、まあ2万ドルくらい。4万ドルくらいの大学を探して2万ドルの奨学金をもらえれば、なんとか2万ドルということになります。
中国人留学生はお金持ちばかりで、「奨学金は要らない」と言います。日本人留学生が「奨学金がほしい」と言っても、中国人同様にお金持ちだと思われているので、他の貧しい国の人たちに奨学金をもっていかれてしまいます。
「日本人も困っている」という現状をアメリカの大学に理解してもらわなければなりません。
留学費用の「現実」をよく考えよう
アメリカの国土は日本の約25倍と大きく、ヨーロッパや中南米にも近いので、留学中はぜひ、積極的に旅行をしてもらいたいものです。
学生専用の安いツアーもたくさんあります。長い旅をするなんて社会人になったらむずかしく、学生ならではの特権です。
あまり予算がギリギリですと、せっかくの旅行にでかけることもできなくなってしまいます。
留学費用については、こうしたことも含めて、さまざまな観点から、親子で向き合ってきちんと話をすることが大切です。
お金は当然親が出してくれると思っている若者もいます。
「あなたのお父さんがいくらもらっているかわからないけれど、たとえば2,000万円の年収ってどう思う? とても大金よね。
日本では、それだけの年収でも、税金や健康保険や年金などもろもろのお金が引かれて実際には60%くらいになるのよ、だから1,200万円くらい。
そこへあなたの留学費用7万ドルってどう思う?」と説明しなければならないときもあるのです。
速報! 2017年9月入学の奨学金獲得例
さて、当研究所から2017年度の9月にアメリカに留学する人たちの奨学金の額がだいたい出てきました。最後にいくつかご紹介です。
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。