移民の国アメリカの発展。留学生たちも大活躍!
アメリカを発展させてきた留学生たち
今年のノーベル賞の授賞者もアメリカ人が中心でしたね。学者、研究者の数はアメリカが世界一だと思いますが、多くの人は、本人か親か祖父母がどこかの国からやってきた移民ですね。
トランプさんも父方はお祖父さん、母方はお母さんそのものが移民ですね。
ハリスさんはお父さん・お母さん両方とも移民です。
トランプさんの応援をしているテスラのイーロン・マスク氏は本人が留学生としてアメリカに来ています。
留学生としてアメリカに来て、そのまま仕事を得て永住権から市民権を得た人もたくさんいますね。
そんな人たちの中からITやAIやChatGPTなんて、世界をまったく変えるようなものをつくった人がいっぱいいます。
アメリカで株価がどんどん上がって注目を浴びている半導体のエヌビディアの最高経営責任者は台湾の人ですね。
AI開発を急速に進歩させた論文を共同執筆した8人のうち6人は外国出身。
また、エヌビディアを使ってできたChatGPTの責任者の中には旧ソ連やアルバニア出身の人もいます。
実際、シリコンバレーを支えてきた多くの技術者はインドや中国を中心にあらゆる国から留学してきた人たちが、そのままH-1b(※)という就労ビザを得て働いて支えてきたといっても過言ではありません。
留学生がいなければ、いまのようにシリコンバレーはうまくいかなかったと思います。
※H-1bビザ アメリカで働く人に発給される就労ビザ。アメリカの大学・大学院を卒業した人が対象。発給される数の上限は65,000件(アメリカ国内で修士号・博士号を取得した人を対象として別枠で20,000件)で、近年は申請件数が多いため抽選が行われている。最長滞在期間は60か月。
アメリカの就労ビザ
H-1bというビザは、大学あるいは大学院を卒業して、アメリカ企業に就職が決まった人に発行されるビザです。
最近、申請する人が多いのと、発行される数が減っているのとで、抽選というかたちになっていて、就職先が決まったにもかかわらず、泣く泣く故国に帰らざるを得ないというケースがあります。
一方で、どんどんスタートアップが誕生するアメリカでは、たくさんの若いエネルギーにあふれた多様な人たちが必要で、抽選に落ちて社員として来てもらうべき人が来なくて会社がうまくまわらない、ということも起きています。
何らかの理由でアメリカに定住することが最大の目標、という人たちは、大学を卒業して、1年のインターンの間に就職先を決めてH-1bを申請します。
ダメになったら即、大学院に入学して修士号を取得し、もう一度インターンをしてH-1bに挑戦するという方法をとる人もいます。
IT系はアメリカに残りやすい
IT関係の会社では、ともかく人が要るのでH-1bを取得するのがむずかしくなる半面、6年前から、STEMといわれる日本でいう理工系の人の場合、卒業後3年間アメリカで働けることになりました。
3年契約で働けるとなると留学生はアメリカに残れる、会社側は3分の2から3分の1の給料で3年契約できるということになり、移民局もあの手この手で考えているのだなぁ、と思わされることがあります。
かくしてアメリカ国家は、留学生を含む多様な移民の人たちで成り立っていて、今後もその方針をとる限り、発展を続けることになります。
日本の若者よ、もっと冒険しよう!
日本は、移民に対する政策がまったくできていません。
つねに同じ時期に同じことをして心を1つにしてまとめることがよしとされていて、純粋培養が大好きです。
アメリカは純粋培養は腐ると考えています。
移民に対する世論をまとめるには、日本ではまだまだ時間がかかり、おそらくうまくいかないかもしれません。
せめて日本の大学に入学する留学生を積極的に日本の企業に就職させて定住させる努力が必要です。
アメリカに留学する日本人も、減少傾向です。
にもかかわらず、日本の企業がボストンにでかけていって、自ら留学生を新卒採用でとろうとしています。
こんなことをしているのは日本だけです。
この仕組みは、日本にいる親御さんたちにはとても安心ですが、せっかくアメリカの大学に行ったのですから、何も日本の大企業に入らなくても、もっと冒険してもらいたいと思います。
シリコンバレーをはじめ、アメリカのスタートアップにもぐりこんで名をあげてくれる日本の若者がどんどん出てほしいのですが、私の夢で終わってしまうのでしょうか。
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。