日本はいつまで低迷を続けるのか? その元凶は何なのか?

博士号を必要とする仕事

アメリカのAmazonで、博士号を必要とする職種があります。

Research Scientist        18〜37万ドル(年収。以下同)
Economist        22〜30万ドル
Applied Scientist        25〜42万ドル
Data Scientist        18〜56万ドル

シアトル、サンフランシスコ、ニューヨーク、ボストンなど全米各地で募集しているそうです。

日本はいつの間に貧乏に?

東京のAmazon開発センターでも、Economist、Research Scientist、Senior Applied Scientistを募集しています。

日本のAmazonでは博士課程の新卒の年収は450〜600万円程度だといわれています。

アメリカとはお給料に随分差がありますね。

Amazonといえども日本にあるAmazonは「新卒」という言葉が出てきますから、かなり日本式を取り入れているんですかね。

なんだか日本は本当に貧乏になったようですね。

最近、トランプさんのことで株価の上がり下がりがひどいですが、日本の日経平均が30,000〜40,000円の間をウロウロしている一方で、アメリカのダウ平均は4万ドルですよ。

日本円にしたら600万円です。違いすぎませんか?

うちの卒業生で、30年ほど前に日本円で300万円でマクドナルドの株を買った人が、いまや1億になったと言っていましたが、日本マクドナルドのほうはたいして変わりばえしませんね(日本マクドナルドの株価は、2001年に売り出したときが4,200円。そして現在は5,480円)。

大学を卒業しなくても稼げる仕事

さて、アメリカで大学を卒業している人は35〜40%くらいですが(思うより少ないですね)、大卒でなくても稼げる仕事が注目を浴びています。

Courseraというオンライン・プラットフォームで受講できるGoogle Project Managementのコースを受けてProject Management Professional(PMP)という資格を得ると、プロジェクトマネジャー、プログラムマネジャー、オペレーションリーダー、インプリメンテーションマネジャーなどの仕事に就くことが可能で、平均年収は約15万ドルだそうです。

日本は、サラリーマンの平均年収が460万円だとか、定年してからの年金が夫婦で230万円で暮らしていけないとか、そんな話ばかりです。

アメリカの65歳の年金は平均2,000ドル/月くらいですから日本円にして30万円くらいです。

アメリカ人は夫婦で働いていますから、けっこういい収入ですね。私の友人のアメリカの大学教授はたしか本人1人で50万円くらいのことを言っていました。

工業社会から抜け出せない日本

日本の円がとても高く1ドル80円くらいだったのは1990年から2010年くらいまでですかね。

日本は1970年頃から工業が盛んで、どんどん経済がよくなって、円も1ドル360円からどんどん高くなって、本当に世界で一番の国になったと錯覚してしまいましたよね。

そのまま、あっという間に工業社会からITの情報社会になって、いまやAIの時代なのに、まだ工業社会の考えから抜け出していません。

同じものを間違いなくたくさんキチンと時間通りに作る、という日本のお得意芸はAIが最も得意とするところなんですが、日本の企業も教育も相変わらず工業社会に適している人間を作っています。

日本の低迷の元凶は教育にあり

東大が文理融合の5年制コースを設けたようですが、高校から文系・理系を分けているのは時代遅れですし、高校の勉強も、1年生はともかく2年・3年は受験勉強で塾とあまり変わらない有様です。

富士通が新卒の一斉採用をやめることにしたそうですが、本当にどの企業も考えを変えてほしいと思います。

4月に同じリクルートスーツを着て、新入社員がゾロゾロ歩いているのを見て、友人の中国人が、「日本って共産主義だった?」と冗談を飛ばして笑っていましたが、中国も、アメリカから盗んだのなんのと言われながらもAIの活用がすごいですよ。

元だって強くて、日本は安い安いと言っています。

つい最近まで、日本円で、香港やバンコクでも買い物ができました。

いまはできません。

一体いつになったら、日本がいつの間にか世界から取り残されているということに気づき、その原因が教育にあることに気づくんでしょう。

どうする日本!!

» 栄陽子の留学コラムトップへもどる


▼ 読むだけでアメリカ留学に役立つ資料をお送りします。

留学資料を無料でとりよせる

著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

» 栄 陽子留学研究所についてはこちら