AIに奪われる仕事、生き残る仕事。大学教育に求められるものとは?
アメリカの大改革が世界に及ぼす影響
アメリカでは、教育省が閉鎖されるという話があり、他の役所のお役人もどんどん辞めさせられています。
イーロン・マスク氏は、お役所仕事はAIに任せたほうがいいと思っているようですし、アメリカの教育省は日本の文科省と違ってたいした権限をもっていません。
なのでなくなって不便になったり混乱があったりしても致命傷になることは少ないし、とくに日本人の留学生には何の影響もないと思います。
この荒っぽいアメリカの改革が多少でも成功すれば、世界の役所の仕事も大きく影響を受け、私たちはあらためて仕事というものについて考えざるを得ません。
それでなくてもAIの影響で、あの仕事もこの仕事もいらなくなるという不気味な感覚があります。
製造業も、物流も、旅行代理店も Indeedというアメリカ発の求人情報サイトが、これからなくなる仕事というものを発表しています(2025年、AIに「奪われそう」な11の仕事とそれでも「安泰」の仕事より)。
1. 製造業(機械操作、検査、梱包、試験など)
2. 小売業および商業(カスタマーサービス、在庫管理、不正分析)
3. 輸送および物流関連(ウェイモがすでに実用化しているような、自動運転車に取って代わられつつある人間の運転手)
4. 基本的なデータ入力、分析、可視化の職務
5. 財務分析および予測の職務
6. 旅行代理店および旅程提供業者
7. 翻訳者
8. 税務申告および初歩的な簿記・会計の職務
ほかに、出版社の校正の仕事やグラフィックデザイナーもいらなくなるそうです。
たしかに、もうすでに私でさえChatGPTに文章直してとか作ってとか、何か絵を作ってとかデザインしてとか頼んでいますからねー。
教育と医療は安泰?
一方でAIに奪われないない仕事とは、
1. 国家資格をもつ正看護師
2. 振付師
3. 救急隊員
4. メンタルヘルス専門家およびカウンセラー
5. 教師(幼稚園から高等教育機関までの教師、講師、教授)
6. 土木技師
7. 外科医
8. プロジェクトマネージャー
9. 業務ディレクターおよびマネージャー
10. ミュージシャン
11. ジャーナリスト
それからAI関連の
1. 機械学習エンジニア
2. ソフトウェア開発者
3. データサイエンティスト
4. サイバーセキュリティエンジニア
5. AIエージェントマネージャー などということです。
サラリーマンの危機
こういうことを発表しておきながら、さらにさらに2030年には85%の職業が、私たち人類が未だにまったく知らない職業になると予想しています。
おぉ、こわ。
要は、絶対に安全な職業ってないっていうことですよね。
2030年ってすぐそこですよ。
こういう時代に、必死に受験勉強して早稲田の法学部に入学した、なんてどういう意味があるの?
日本の会社に入って、すぐ上に立って立案して企画を立てて命令する人にはなれないので、命令を聞いて実行するホワイトカラーのサラリーマン(これが一番多い)になっても、早稲田を卒業する頃にはそんなの全滅ではないのかしら?
時代を先取りする教育とは?
ここでまた、アメリカの宣伝になりますが、アメリカの大学は分析力と判断力と決断力を養成するのが目的なんです。
一番大切な決断力、それから寮生活をしてクラスで必ずディスカッションをするコミュニケーション能力。
そのために予習・復習は欠かせません。 理系・文系・芸術系・体育系なんてありませんので、時代を先読みしながら、いろいろなクラスをとっていかなければなりません。
4年で必ず卒業するわけでもないし、専攻を変えていいので、時間割も自分で組んでいろいろ考えなければなりません。
時代を先読みしたりそれに応じて自分の将来を考えたりすることって、日本の大学ではやってないんじゃないでしょうか。
早稲田の法学部では何を勉強するのか全部決まっているし、コンピュータやAI関連の授業もとれないし、そもそも法律も、人間が60年か70年くらい生きることを前提につくられているように、素人の私には思えないんですが。
日本はやばいですよ。
教育のありかたが未だ工業社会に生きる人を育てるやりかたですからね。
同じものを間違いなく遅れずキチンと作るための仕事をする人。
それって最もAIの得意なことですよ。
本当にどうする日本!!
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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。