英語力のお話。勉強しても身につかない、では留学すると身につくのか?
日本人の英語力 世界で92位の衝撃
日本人の英語力が世界で92位という、ちょっとショックな発表がありました(※)。
中国が91番目だそうですから、漢字圏は英語に弱いのかな、と思ってしまいます。
※EFエデュケーション・ファースト(語学教育機関)による。英語を母語としない116の国と地域が対象。約210万人がオンラインで無料テストを受験し、その結果を分析して順位づけしたもの。ちなみに1位はオランダ。アジアではシンガポールの3位が最高。
英語が勉強の対象というジレンマ
いまの若い人は小学校から英会話を習っていて、割に英会話は上手なように思うのですが、やはり日本人は英語がいまだに全体として苦手なようです。
英語は手段だということを聞きますが、やはり日本人にとって英語は勉強の対象です。
それも、最も記憶力を要求される勉強の対象です。
しかしながら、学校や塾の言う通り、きちんと単語や構文を暗記できるという能力は、中学生くらいで終わるんではないでしょうか。
高校生くらいになると、無心に暗記するなんて無理で、机の前に座っても頭の中に雑念がいっぱい湧いて、あれこれ考えて、単語の暗記をすることもないまま1時間があっという間に過ぎてしまうという傾向が強くなります。
勉強に集中できない? それが普通です
よく当研究所にカウンセリングに来て、本人が留学したいしたいと言っても、親が「とても英語が好きとも思えないし、勉強もしない。これでどうしてアメリカで勉強についていけるか。とても留学なんか賛同できない」と主張するケースがたくさんあります。
まぁ、本人は、勉強しなきゃあ、がんばらなきゃあ、と頭ではわかっていて、今日こそやるぞ、と思っても、やっぱり、また、寝ちゃった、という毎日なんだと思いますよ。
「みんなそんなもんですよ」と私が言うと、本人はすごく喜びます。
そうそう、それが言いたかった、というところでしょうか。
世の中には、いくつになっても、机の前に座ってきちんと勉強できる人もいますが、多くは、勉強よりついついスマホ、テレビ、ということで時間をつぶすことになりがちです。
2度と忘れない英語の覚えかた
単語なんかは使う目的がハッキリ決まっていなければ、なかなか覚えられるものはありません。
でもアメリカに転勤なんてことになると、もう泣きたい思いで毎日過ごして、自分のビジネスに必要な言葉からイヤでも身につけていきます。
留学も同じで、いざ、大学に入ってルームメートもクラスメートもアメリカ人で、英語で数学の授業をとるとなると、もう頭の中は火事です。
アドレナリンがバンバン出て、集中力が異常な高まりを見せます。
私がアメリカで最初に頭に入った言葉が、「アイモンダイ」というものでした。
さっぱり意味がわかりませんでしたが、この言葉を言っている女の子たちが食べないのです。
サラダを少しとピザ一切れみたいな。それで “I’m on a diet.” と言っているとわかりました。
2度と忘れません。
「怖い!」その思いが集中力を飛躍させる
人間には火事場の馬鹿力という不思議な能力があって、それを信じて私は52年間、英検の準2級くらいの学生をアメリカの山の中にある全寮制の大学に叩き込んで、断崖絶壁から飛び降りるつもりでやれ、と送り出しています。
でもそれは本人にとっては怖いことで勇気のいることです。
やってやる、私は大丈夫、と思えなければなりません。
また、親も、毎日ゲームをやって寝てばかりいる子どもを信じてやらなければなりません。
しかしながら、そういう人は年々減っています。
小学校お受験から始まって中学受験、大学受験、就職活動と、みんなと同じ時期に同じようにすることで頭がいっぱいで、他のことが考えられなくなっています。
みんなと一緒に、とりあえず形だけでもやっていなければならないし、形だけでもやっておけば、いまや何とか入れる大学も入れる会社もあります。
冒険する若者も、ましてや火の中に飛び込んでみようという若者も減り、日本はどんどん縮小気味で、他のアジアの国からも「日本は貧乏になった」と言われる始末です。
はてさて、どうする日本!!
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。