アメリカにおけるHelping Profession
アメリカでは、福祉やカウンセリングなど、人を手助けする職のことを総称してHelping Professionといいます。こうしたHelping Professionに就くための教育プログラムが、大学や大学院に数多く設けられています。
アメリカは、医学や歯学など、医療に関係する分野は大学院でしか学べません。福祉やカウンセリングの分野の多くもまた、基本的には大学院で学ぶものです。人の健康ひいては命にかかわるということには、相当の専門知識と見識、また指導者としての素質が求められます。「専門的なことは大学院で学ぶ」という考えかたがあるアメリカでは、福祉や医療にかかわるためには大学院レベルでの教育を受けなければならないというのが常識になっています。
アメリカで学ぶ意義
アメリカの大学院には、Helping Professionに就くにあたって必要な知識や実践ノウハウを学ぶ課程がたくさん設けられています。この分野においてはアメリカはたしかに先進国です。癒しにかかわる教育プログラムの多彩さ、充実度、そしてその先進性は、アメリカに留学してこれらの分野を学ぶことの大きな魅力の一つです。
気をつけたいこととしては、日米の文化や社会の違いが挙げられます。カウンセリングを例にすると、それが実践される社会が異なれば、カウンセリングにおいてどういった問題が扱われるか、どういった人がカウンセリングを必要としているか、なども異なります。カウンセリングの効果的な手法なども異なるはずです。カウンセリングのみならずHelping Professionにかかわるすべての分野に共通していえることですが、援助する対象となる人の現実やニーズに適ったかたちで援助を実践する必要があるということは、心にとどめておきたい重要事項です。
アメリカの大学院への進学
アメリカの大学院で福祉系の分野を学ぶにあたって、大学での専攻は問われません。カウンセラー教育学などは大学院でしか学べませんし、福祉系の分野は基本的に大学院で学ぶものですので、大学で福祉に関係する分野を専攻していなくてもかまいません。
とはいえ、大学院によっては「心理学の科目をあらかじめいくつか履修していること」とか「社会学、心理学、統計学を履修し、B以上の成績を修めていること」といった条件を設けています。こうした条件のことをアカデミック・バックグラウンドといいます。現在、大学に在学している人は、心理学、社会学、統計学といった科目をとるようにしましょう。
すでに大学を卒業していて、アカデミック・バックグラウンドを満たしていない場合の対応方法としては、
- 条件のやさしい大学院をめざす
- 放送大学などで条件を満たすだけの科目を修める
- アメリカの大学に編入して条件を満たす
以上の方法が考えられます。三つ目の方法は、遠回りのようではありますが、英語「で」心理学なり社会学なりを学ぶ訓練になりますし、ディスカッションやリサーチの練習にもなりますので、大学院に学ぶにあたってはとても有効な準備方法です。編入先のアメリカの大学を卒業する必要はありません。