全世界から100万人の留学生が学ぶアメリカ!最近の留学トレンドを調べてみました
トランプ大統領の発言が次から次へと話題を振りまいています。「日本や中国との貿易で、アメリカは大損している。関税をもっと引き上げる」というのもその一つです。
日本は、首相とトヨタの社長が話し合って、何とかトランプさんの気持ちをなだめようと穏便な方法をあれこれ探っているようですが、中国は、「じゃあ、もう中国からの留学生をアメリカに送らない!」と言ったのです。
まったく、どの方向からヤリが飛んでくるのかわかりません。奇抜な返答じゃないですか。
笑っちゃうよね、さすが中国。
留学生の3人に1人が中国人
それで久しぶりに、アメリカの大学で学んでいる留学生の数を調べてみました。
まず、アメリカには全世界から約100万人の留学生が学んでいます。
そのうち、中国出身の人が何と33万人もいるんですよ。毎年グングン伸びていて、国別の留学生の数はもちろんダントツ1位です。日本は19,000人で、お話にもなりません(※留学生の数はすべてOpen Doors, Institute of International Educationによる)。
(Open Doors, Institute of International Education)
ニューヨーク大学あたりだと、学費+寮・食費の合計が70,000ドル、お小遣いなどを合わせると80,000ドルくらいになります。
これを一番高いケースとして、学費の安い州立大学などもあわせて考えて、留学生一人あたりの年間費用を平均40,000ドルとしましょう。
中国人留学生の8割が私費で留学しているとすれば、一人40,000ドル×26万人で約104億ドル。
日本円換算すると、中国人の学生たちは1兆1,400億円くらい、アメリカに毎年払ってくれるわけですよね。
もちろん、トランプさんが言っている対中国の貿易赤字から比べたら微々たるものですが、それでも教育界にとってはたいへんなお金です。
留学生はお金もち?
留学生の数が多い大学を調べてみると、1位がニューヨーク大学で約15,500人、2位が南カリフォルニア大学で約13,300人です。
なんと、アメリカで最も学費が高い2校ではありませんか。
ニューヨーク大学とともに、留学生にはあまり奨学金を出してくれないことで知られるボストン大学は9位で、約8,500人の留学生が学んでいます。
(Open Doors, Institute of International Education)
ノースイースタン大学が躍進した理由
6位にノースイースタン大学が入っています。11,700人ということですから、在学生の数(約25,000人)に比べるとずいぶん多いですよね。
この大学は、イリノイ州のノースウェスタン大学というよく似た名前の名門大学に隠れて、ハーバードやMIT、ボストン大学といった名だたる名門大学がズラリとそろったボストンではちょっと置いてけぼりみたいな大学だったんです。
それが、2006年に新しい学長がやって来て、US NewsとかTimes Higher Educationといった有名な「大学ランキング」で上位になるためのポイントを研究して、どんどん大学改革をやったんです。
そうして、あれよあれよという間に、ランキングに名前を出すようになったんですが、それが留学生の数にも出てくるとはね。
何年か前に、留学生に対して、最初の1年は英語だけを勉強するという条件で大学に入学させるBridgeというプログラムが流行って、ノースイースタン大学に中国人がいっぱい来たことがありました。
「1年たっても英語力が上がらず、大学の授業を受けさせてくれないので助けてほしい」と、中国語がわかるスタッフがいた当研究所のボストンオフィスに泣きついてきたこともあったものです。
そういえば、5位のイリノイ大学も、中国の人に人気が高かったことを思い出しました。
みんなイリノイ大学の名前を出すのです。
「どうして?」って思ったけど、そのときは深く考えなかったのですが、中国人が好むプログラムを設けていたか、どこか大きな留学エージェントとつながりがあったのかしら?
中国からの留学生は奨学金を必要としない
次に留学生の財源を見ると、「Personal and Family」(私費)が66.5%を占めています。これってほとんど中国の人ですよね。
(Open Doors, Institute of International Education)
そもそも開発途上国からは、超お金もちか、超よくできる人しかアメリカに留学してきません。
でも中国は人口の10%がお金もちとしても1億3,000万人もいます。
なのでアメリカの大学の学費が高いと感じなかったり、留学するのに奨学金なんか別にいらないという人がほとんど。
うちの研究所でも、お父さんが中国の人だとか、中国の人だけど日本と中国を行ったり来たりしているという人たちは、「お金のことは全然心配ありません」と言いますからね。
まあ、一昔前のバブルの頃の日本人と同じよね。
ちなみに、ボストン大学の日本事務所なんか、とっくの昔に撤退してしまいましたからね。
お金のない日本人なんて相手してくれないってことでしょうかね。。。
中国に次いで、アメリカの大学で学んでいる留学生が多い国がインド。
この国の留学生たちは英語力は問題なく、よくできる学生が多いので返済不要の奨学金(※学費の減額)をもらっている割合も高いでしょうね。
3位はサウジアラビア。お金持ちの国ですよね。
4位が韓国。それこそお父さんが必死に働いて、お母さんと子どもがアメリカにいて、一族の財産をすべて子どもに賭けるという国です。
たくさんな数字を見て色々なことをとりとめもなく思い出したりしましたが、私の留学カウンセラー歴も45年目に突入します。
長いですねぇ 笑
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。