コロナ禍によってどう変わる? 日米の大学のトレンド
大学進学を1年延期
毎日、新型コロナウィルス感染症のことで世界中が動揺しています。
アメリカはとうとうロックダウンを解除するそうです。
基本的にマスクをするのが嫌いで、ハグするし、キスするアメリカ人ですから、解除して本当に大丈夫なの? という思いです。
学校もすべてオンライン授業になってしまって先が見通せないなか、親の経済的困窮もあって大学に行くのを1年延ばそうという新入生が少なからずいるようです。
アメリカの大学は入学金もなく、入学を1年延ばしても入学許可は担保されるので問題ありません。
日本では4月入学を9月入学にしようという動きがあり、50%以上の人が賛成とのデータも出ていますが、それが実現したら何か世の中に大きな変化があるかもしれませんね。
成果&効率が求められるテレワーク
テレワーク、テレワークと、まるですべての仕事がテレワークでできるような意見もチラホラ見受けられますが、テレワークで済む仕事とそうでない仕事があるし(美容院などは無理です)、テレワークに向いている人とそうでいない人もいるでしょう。
私などはテレワークになったら、全然仕事がはかどらない人になりそうです。
なんとなく仕事場に来ていればなんとかなったという人も多いと思いますが、そういう人はテレワークになったらいろいろアラが出てくるでしょうね。
いずれにしても、テレワークが普及すると報酬も成果型になる可能性が高いと思います。
何といってもテレワークとかオンライン授業なんていうものは効率が第一番ですから、ボンヤリ職場や教室に行ってもなかなか仕事の成果も上がりませんし、単位もとれません。
コロナ時代の大学のありかた
効率を重視するという意味では、今回の新型コロナウィルス感染症をきっかけに、アメリカでは大学を3年間で卒業しよう動きが加速しています。
もともと、あまりの学費の高さに3年間で卒業すれば25%の節約の効果があると一部で人気が出ていたのですが、どうやら今回のことで大学側も効率よく単位をとれる方法を考えたり、夏休みのインターンシップや、1学期間のインターンシップを単位として認める方法などを取り入れ始めました。
もともと、他校の単位や通信教育の単位も認めるという、とても柔軟なアメリカの大学ですが、今後どのように変化していくのでしょう。
広い広いキャンパスで4年間寝起きを共にして大学生活を送るというオーソドックスなアメリカのキャンパスライフは崩れていくのでしょうか。
栄 陽子留学研究所では、アメリカの大学の「単位制」を利用して日本の放送大学の単位を認定してもらったり、四年制の大学を3年または3年半で卒業するためのカリキュラムの組みかたなどを学生に教えていますが、これからこういうノウハウがもっと活きるかもしれません。
日本はせっかく放送大学など、そもそもオンラインで授業を受けられる方法がそろっているのに、今回のことで日本の大学は随分遅れていることがバレてしまいました。
日本の矛盾が暴かれた
ステイホームの影響で、お店で物が売れないとか仕事がなくなったなど、経済的打撃が世界中を襲い、どこもかしこもお金、お金になっています。
日本の大学生も学生ローンを組んでいる人が多く、アルバイトもできず大学を辞めざるを得ない人たちも出てきています。
9月入学にすることをきっかけに、みな一斉に4月に就職するなんてこともなくなればいいし、放送大学などの単位を日本の大学も認めるとか、9月入学も4月入学も認めて、アメリカ大学のように一定の単位を取得して一定のルールを守れば短期間でも卒業できるようにすれば、おもしろいことになると思います。
でも、同質の人が多い日本の文科省ではそうは簡単にいかないでしょうね。
今回の新型コロナウィルス感染症のことでは、日本の制度や、本来当たり前と思われていたことからたくさんの矛盾が噴き出して、慌てて始めたテレワークやオンライン授業で、「もはや前の時代には戻れない、すべてテレワークになって人間の住みかたも生活も変わる」というような極端な意見もあれこれ見受けられますが、さてさてもうちょっと長い時間をかけて見てみないとわからないことだらけです。
今回のことで、人間は本当はとても臆病で、どんなに立派な教育を受けていてもいろいろな情報に惑わされやすくて、お金がなくなったらすぐ国のせいにして国からお金をもらおうとする、まぁ、当たり前にわかっていたことが随分バレバレになりましたね。
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。