【2021年1月最新情報】コロナ禍中のアメリカ大学留学 実態調査アンケート
みなさんこんにちは。栄 陽子留学研究所のインターン 西口です。
新型コロナウイルスの影響でアメリカの大学への入学が延びた生徒3人と一緒に企画して、コロナ禍での留学生活についてのアンケートを実施しました。
アンケートに協力してくださったのは当研究所からアメリカの大学へ進学し、2020年秋学期(9月~12月)の時点でアメリカで留学生活を送っていた生徒さんたちです。
これから留学する人や、留学を検討している人たちに、留学中の先輩がたがコロナ禍でどのような留学生活を送っているか、その現状を知ってもらい、これからの準備に役立てていただけたらと思います。
アンケートの概要
アンケートの回答者
実施期間:
2020年11月~12月
回答数:
アメリカ大学に留学中の日本人32名が回答(回答率25%)
回答者の学年:
新入生(Freshman) :34.4%
2年生(Sophomore) :21.9%
3年生(Junior):12.5%
4年生(Senior):31.3%
回答者の留学地域:
(学生たちが2020年度にビザを取得して留学できた大学は、基本的に大都会の大学よりも、地方にある寮制の大学が中心となっている)
2020年の秋学期に留学を実現した日本人留学生にアンケートを依頼し、32人が回答した。
回答からは、マスクやアルコール消毒など自分でできる最低限の感染対策は日本と同様にできることがわかった。さらに、イベント・授業のオンライン化や食事の持ち帰り制度、課題中心の週末など学校側の対策もあり、日本にいたときよりも少ない外出で勉強できている。
しかし、それと同時にオンライン化に伴う対人コミュニケーション機会の減少によってスピーキング力向上に支障が出たり、留学先での友だちづくりに苦戦するなど、コロナ禍ならではの困難もうかがえる。
大学での感染予防
現在、地域のスーパー等でマスクの購入は可能ですか?
100%の人が「はい」と回答。
現在、地域のスーパー等で消毒液の購入は可能ですか?
100%の人が「はい」と回答。
→2020年11~12月頃の時点で、マスク・消毒液の購入に困ることはなく、自らできる最低限の感染対策は、アメリカにおいても日本同様に行うことが可能なようだ。
学校周辺地域の人のマスク着用や手洗い・うがいへの意識について5段階評価で教えてください
高いほうから、5段階の5(意識が非常に高い)と答えた人が9名、4と答えた人が11名、3と答えた人が10名、2と答えた人が2名であった。1(意識が非常に低い)と答えた人は0名。
→全体の93%が現地周辺の個人レベルでの感染対策に3以上の評価をつけた。さらに63%が4~5の高評価。テレビでの報道など不安にさせられるような情報に反して、大学の周辺での対策意識は日本人から見ても低くはないようである。
留学者の入国時の隔離の実施状況
アメリカ入国後の隔離期間(※)について教えてください
※アメリカでは入国後の隔離に関しての規定が地域ごとにあり、大学ごとにそれぞれ対応が異なる。
1~3日間の隔離が3%、3日~1週間の隔離が6%、1~2週間の隔離が50%、2週間以上が6%。隔離なしも35%いた。
→隔離については、実施した学校とそうでない学校で分かれた。実施した学校の隔離期間はおおむね1週間から2週間のようだ。
隔離されている際の拘束はどのくらいでしたか?
日常に必要な程度は外出ができた人が45%、キャンパス内は外出自由だった人が26%、まったく外出できなかった人が9%だった。学校外の自宅で自主隔離だった人、隔離棟内のみ自由、ホテル隔離で外出は基本自由、とくに制限なしがそれぞれ5%、行動できるのが隔離棟内のみだった人が5%。(回答数25件。自由記述を元にグルーピング)
→まったく外に出られなかったと答えたのは2名のみ。隔離があったほとんどの人が、必要最低限(運動や日用品の買い出しなど)の外出は可能であった。とくに制限がなかった人も1名いた。
隔離中の食事はどうしていましたか?
学校からの支給が31%、自炊が27%、カフェテリア(学生食堂)のテイクアウトが27%、隔離先のホテルからの三食支給が5%、デリバリーが5%、普段どおりが5%。(回答数22件。自由記述を元にグルーピング)
→コロナ後の変化として、カフェテリアの食事がテイクアウト可能になった、テーブルの間隔が開けられた、食器が使い捨てになったなどが挙げられた。内部の飲食スペースが使えなくなり、テイクアウトのみになったところも。学校のスタッフなどからの支給とカフェテリア利用を合わせると、半数以上が学校内で調達できている。中にはUber Eats などのデリバリーを利用する人もいた。
授業
現在履修している科目はいくつありますか?
2科目~3科目がそれぞれ1名、4科目が8名、5科目が15名、6科目が4名、7科目が2名、8科目が1名であった。
→4~5科目の履修が一番多く、コロナ過でも、フルタイムの学生として留学できている人は、きちんと複数の科目を履修できている様子。(逆に、1学期にそれなりの単位数をとらないと留学生は滞在許可が出ないので注意)
履修している科目の授業形式を教えてください
対面のみの授業が37%、完全オンラインの授業が25%。ハイブリッド(※)の授業が38%となっている。(※ハイブリット形式とはオンラインと対面を組み合わせた授業形式のこと)
→意外にも、完全対面が完全オンラインを上回った。栄 陽子留学研究所の生徒の多くが留学する中小規模のリベラルアーツ・カレッジでは、完全オンラインにせずともソーシャルディスタンスやハイブリット形式等で対策がとれたことが理由の1つである思われる。ただし、高齢な教授の授業などでは、完全オンラインになることが多いそうだ。
ハイブリッド形式はどのように行われていましたか?
→自由記述で回答してもらったところ、大きく分けて以下の4つのパターンがあることがわかった。
- 週3回の授業のうちの1回をオンライン、2回は対面形式で行うなど回によって切り替える
- クラスを半分に分け、オンラインと対面の週を交互に設け、通常の授業時間に対面クラス、夜にオンラインクラスの授業を行う
- 基本的には教室で授業を受けないといけないが、特別な理由があればzoomでの参加も可
- ディスカッションなどをアプリケーションを通して行い、聴くだけの講義は教室で行う
現在履修している科目の教授はオフィスアワー(※)を設けていますか?
※オフィスアワーとは、学生が教授のオフィスにアポなしで個別に質問に行ける時間のこと。授業中に聞き逃したことや、宿題の質問などゆっくり教授に聞くことができるので、とくに留学生にとってオフィスアワーはとても重要。
91%が「はい」と回答した。
→学生にとって大事な時間でもあるため、ほとんどの教授がオフィスアワーをなんらかの形で設けてくれているようだ。
オフィスアワーは対面形式で行われていますか?
72%が「いいえ」と回答した。
→オフィスアワーでは部屋の中という密な環境で会話をするためか、多くの場合はオンラインで行われていることがわかった。
オンラインのオフィスアワーとは?
回答は、大きく分けて2パターンあった。
- メールなどで事前に教授に連絡をとって、予定を合わせる
- 教授が決まった時間にzoom会議を開いて、質問がある学生がそのzoom会議室に随時入っていく
後者のほうがより本来のオフィスアワーの形式に近い。
コロナ禍でのオンライン・オフィスアワーで感じたことは?
オンラインのオフィスアワーについて聞いたところ、便利な点・不便な点、両方の意見が見られた。
【便利なこと】
- 教授のオフィスに行かなくても、自分の部屋で質問ができるから楽。
- オンラインでも教授の画面がシェアできるしボードを映してもらえるのでので特に不便は感じない。
【不便なこと】
- 対面よりも聞きとりくく、英語を聞いても理解しにくいことがある。わからないことの説明や意見を言ったりするのが大変(対面なら教科書やノートで説明が可能だった)
- オンラインに慣れていなかったり、電波が悪いと聞きとりにくかったり、意志の疎通がむずかしい
- 教授によってはzoom会議室にいつでも教授がいるわけではないので、オフィスアワーで質問することが面倒になったり、メールを教授がチェックできていなかったら会えない
実験の授業はどのような形式で行われていますか?(複数選択可)
対面が8件、録画が4件、オンラインが5件。(回答数14件。1人が2つ以上の実験クラスを受けることもあるので回答者数<合計回答数)
→意外にも約半数が対面で実験の授業を行っている
コロナ禍での実験の授業について困ったことがあれば教えてください
以下のような困りごとが報告されていた。
- 対面の実験とbeyond lab(オンライン実験室)での実験を交互に。最初は実験器具の操作方法に戸惑ったが、慣れると時間のかかる実験もスムーズに行えて楽しい
- 近くに行って見れなかったので実験の様子がわかりにくかった
- 実際に実験に参加できないので自分の身についてるのか心配
- 感染症対策で実験アプリを用いての授業だったのでイメージしにくかった
→実験などの体験が大事な授業では、やはりむずかしい点もいろいろあるようだ。
学生生活と部活/学生団体
コロナの影響で寮のルールの変化は?
コモンルームやシャワールームなどの共有部の利用に制限がかかったが15件。相部屋の最大人数を減らしたり、1人部屋の料金を下げて部屋ごとの人数を減らしたのが6件。マスク着用程度のルールのみで大きな制限なしが5件、とくに変化なしが6件だった。(自由記述を集計。複数回答あり)
→共用部分の利用制限に細かな記述が多かった。棟の間の行き来が制限されたり、鍵を持っていないと入れなくなったり、一度に集まれる人数が制限されたりしている。学生同士の交流を尊重するアメリカの大学寮が、コロナで影響を受けている状況が伺えた。
部活や学生団体の活動はコロナの影響でどのように変わりましたか?
オンライン中心が15件、マスク着用やソーシャルディスタンスなどのルールを設けて対面中心が9件、対面/オンラインどちらも同程度行っているものが3件、ほとんど活動がなかったが3件、活動が中止になったが2件、各種活動に未所属が2件だった。(自由記述を集計。複数回答あり)
→スポーツなどの対面でないと行えないものは、大半がマスク着用や他校との試合禁止などのルールを設けて活動を続けているようだ。一方で、それ以外の活動はオンラインになったものが多い。規模は縮小しているものの、中止になった件数自体は2件で、思ったよりは全面的な禁止は少ないようだ。
週末と自由時間
週末にキャンパス外へ出ることは許可されていますか?
97%が「はい」と答えた。
→ほとんどの学校で学生の週末の外出に関しての規制はされていないようである。
週末は何をして過ごしていますか?
課題をしているが20件、買い物が5件、友人と食事が4件、友人と外出が7件、動画視聴が9件、その他が4件であった。
→大多数が課題と回答。外出の機会が減ったため、週末の娯楽は動画視聴が人気。週末はリラックスしながら課題を消化する、という留学生のスタイルはコロナ禍でもあまり変わっていない印象。そのほか学校の催し物やジムなどがあった。
オンライン授業などの影響で友だちづくりがむずかしいと感じましたか?
80%以上が「はい」と回答した。
オンラインで行われるグループワークでは必要最低限の会話や連絡のみになることが多く、友だちになるほど親しくなりにくい。また、オンライン授業によって英語をしゃべる機会が減ったという意見も。たとえば、
- クラス内でのグループ活動が減ったため、むずかしいと感じました。上級生になればそういった機会も増えると思いますが、新入生では制限されています。
- 学校の友だちと大学主催のイベントを通じて会って話すことが多かったが、その機会はほとんどなかった。英語を話す機会は以前より少なかった。
- 対面授業が減り、1人ひとりのスケジュールがユニークなものになったため、予定を合わせるのがむずかしいと感じました。単純に人と会うことに対して自分がピリピリして消極的だったのも大きな要因です。
→多くが、人と直接会えないことが友だち作りに影響していると回答している。
コロナの流行で、留学する上での不安要素が通常よりも大きかったと思いますが、渡米することに対してどのように考えていましたか?
人ごとにさまざまな意見が見られた。田舎の大学では都市部に比べて感染数も少なく寮に隔離棟があったりと対策もされていることを信頼する人、コロナ以外にも大統領の政策への不安がある人、将来を考えて思いきって留学した人など。たとえば、以下のような意見があった。
- コロナに関しては手を洗うなり距離を保つなりで気をつけるしかない。正直アメリカにいるほうが大学で検査も受けられるので安心。
- 不安があったが、自分で最大限気をつけようと考えていた。日本にいてもアメリカにいてもかかるときはかかる。
- オンライン授業が発達してきていたので自分の健康に気をつけていれば学業的にとくに問題はないと思っていた。
- 日本の都市部より安全だと考えていました。
- 自分の将来の時間などを考えると延期はできないと思い渡米を決断しました!
- 私の場合数年滞在した後でしたので、コロナももちろん心配ですが、外国人として滞在する立場というのは弱いので、政策が厳しくならないかということの不安も大きかったです。
- 不安はもちろん大きかったのですが、大学のコロナ対策が徹底されていることもあり、学校が開く限り日本から受けるオンライン授業だけでは経験し得ないことがあると思い渡米しました。
結論~アンケートから得られたもの~
いまの時期、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に留学を延期もしくは断念したかたもいると思います。
実際にこのアンケートを実施した4人も、同じ理由で入学を半年ないしは1年延期しました。それでも状況はあまり変わらず、海外にいながら新型コロナウイルスと戦うことに対しての漠然とした不安が次第に大きくなるのを感じました。
しかし、今回のアンケートで、地域によって感染状況も違い、アメリカを一括りには言えませんが、個人でできる感染対策のレベルは日本とさほど変わらないということがわかりました。
さらに学校側でもオンラインでの授業やイベント開催など、感染拡大への対策がしっかりとされています。このようなアンケート結果から、自分がどのような状況下で留学をし、さらに新型コロナウイルスと戦うことになるのかを先輩がたの声から想像することができました。
留学生活においてコロナ禍ならではのむずしさもあるようですが、何がどのようにむずしいのかを事前に知ることで心の準備も十分にでき、漠然とした不安は薄れ、いまでは具体的な対策を考えるなど前向きに留学準備を行えています。そのため今回のアンケート結果は自分たちにとって、とても背中を押されるものでした。
もし、このアンケート結果が留学を検討・延期している人に実際の状況を伝え、これから決断をする上で少しでも有意義なものになれば幸いです。
リサーチメンバー
西口 将:2021 秋 Purdue University School of Aeronautics and Astronautics Direct Ph.D. Program 進学予定
田中暁:2021年 秋 Roger Williams University 入学予定
佐居拓哉:2021年 春 Ohio Northern University 入学
越川 未羽:2021年 春 Coe College 入学
留学カウンセラーから
アメリカではワクチン接種も進み、全米の大学も2021年9月の新学期はキャンパスを通常通りオープンする方向で準備しています。キャンパスではPCR検査を定期的に行い、いずれワクチン接種も義務づけられるかもしれません。
本来あるべき「寮生活」を基本とした大学生活を送れるようになることを期待しながら、当研究所でも2021年9月入学に向けた準備を進めています。
アメリカの大学はとても柔軟なところがありますから、それぞれの大学が機に応じて迅速な対応をとっています。そのとき、そのときのベストと思われる対応を、すぐに実行に移しているのが、日本の大学と比べて大きく際立つ姿です。
当研究所では引き続き、現地からの最新情報をていねいにキャッチしながら、安心して留学できるようにサポートしてまいります。留学を考えているけれどコロナが心配、というかたはぜひご相談ください。
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