留学を成功させる英語 第5回:アメリカの大学を知る(4)

みなさんこんにちは! アメリカの大学に留学中のみなさんは、冬休みも終わって、淡々と春学期が始まり、勉強中心の日々が再開した頃だと思います。体調に気をつけて、充実した留学生活を過ごしてくださいね!

さて今回の「留学を成功させる英語」では、「アメリカの大学生のありかた」についてお話しします。大学生(college studentuniversity student)というのは、いささか大きすぎるくくりかたではありますが、ごく一般的に、卒業をめざして大学に学んでいる学生のことを指すものと思ってくださいね。

 

アメリカの大学の学期制

「アメリカの大学は卒業がむずかしい」とか「アメリカの大学生はよく勉強する」とかいったことを聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、たしかに日本の大学生に比べると、アメリカの大学生はよく勉強します。

アメリカの大学の1年度(academic year)は9月~翌年の5月です。多くの大学が、9月~12月の秋学期(fall semester)と1月~5月の春学期(spring semester)とで1年度を2分する2学期制(semester system)をしいています。5月中・下旬から8月いっぱいは長い夏休みです。日本からの留学生は「春セメ」とか「秋セメ」とか言ったりしますね。

Fallとspringのsemesterがそれぞれ独立しているのがsemester systemの特徴で、fallにとる科目(course)については学期末までの15・16週間のうちに中間(mid-term)・期末(final)テストを受け、レポート(paper)を提出し、成績(grade)がついて完結し、springにはまったく別の科目をとり、やはり15・16週間で完結します。

この学期のペースの速いことが、「卒業がむずかしい」とか「よく勉強する」といわれる一つの理由です。勉強しなければ、すぐに落ちこぼれかねないスピードだということです。

 

アメリカの大学の単位

アメリカの大学生は、1学期にだいたい4~6科目くらいをとります。科目のことをcourseといいます。

1科目について3単位を得られるというのが一般的です。単位のことをcreditunitsemester hourといいます。じつは単位というのは学習「時間」のことをいうのですが、詳しくは別の回にゆずることにします。とりあえず単位数=1週間の授業時間数、と覚えておけばいいでしょう。授業はclassといいます。

1学期に4~6科目をとるとすれば、単位数でいえば12~18単位、1週間の授業時間数も12~18時間ということになります。1日あたり3時間くらいの授業です。

この授業時間だけを見ると、アメリカの大学と日本の大学とでは大きな差がないように見えます。しかしアメリカの大学では、授業の2倍の時間を宿題として取り組むことがあらかじめ想定されています。先ほど「単位とは学習「時間」のこと」と書きましたが、この時間には授業だけでなく宿題の時間も含まれているのです。宿題はhomeworkとかassignmentといいます。

たとえば1学期に15単位をとるとすれば、1週間の学習時間は、15時間(授業)+15×2=30時間(宿題)=45時間ということになります。この「週に45時間」というのが、アメリカの大学生の標準的な学習量(course load)です。社会人がフルタイム勤務するのと同じだけの時間を勉強に費やすことが、アメリカの大学生には約束事として課されているわけです。

さて「授業時間の2倍の宿題」というのは、アメリカ人の学生のスタンダードではありますが、実際には宿題に費やす時間は学生によってさまざまです。要領のいい学生もいれば、そうでない学生もいます。留学生の場合は、英語力や環境の違いといったハンデがありますから、2倍が3倍になり、4倍になることもあり得ます。こうなると、勉強時間を確保するだけでもたいへん――留学生たちは寝る間も惜しんで勉強することになります。

 

アメリカの大学の成績

アメリカの大学生はこうして勉強中心の生活を送るのですが、もう一つ、彼らをして勉強に向かわせる理由が、アメリカの大学の厳しい成績措置にあります。

アメリカの大学では、成績(grade)はA、B、C、D、Fの5段階でつけられます。そして2学期続けてC平均を割る成績をとると、退学になってしまうのです。Cというのは100点満点でいえば70点です。しかも15・16週間という短期で決着がついてしまうのですから、ちょっとでも気を抜くことができません。

このA、B、C、D、Fそれぞれを4.0、3.0、2.0、1.0、0というポイントに置き換えたものをGrade Pointといいます。そしてこのGrade Pointの平均値をGrade Point Average略してGPA(ジーピーエー)といいます。C平均とはGPAでいえば2.0ということです。

アメリカの大学ではこのGPAがとても重視されています。大学院に進学するためには3.0以上のGPAが求められますし、就職の際にもGPAが問われます。したがってアメリカの大学生は、よいGPAをキープするためにもしっかり勉強に励むのです。アメリカの大学に留学して一番大切な数字は何かといえば、このGPAです。

 

心身ともに「タフ」なアメリカの大学生

ではアメリカの大学生は、勉強ばかりしているのか、といえばそうでもありません。スポーツはとても盛んですし、ボランティアにも積極的に取り組みます。スポーツはするほうも観るほうも大いに盛り上がります。課外活動の成果は大学院進学などにおいても評価されます。

そしてもちろん、パーティにも熱をあげます。金曜日の夜と土曜日は、勉強のことはひとまず忘れて、大いにはしゃぎます。でも日曜日のお昼ごろには黙々と図書館で勉強をスタートさせます。だいたいアメリカの大学生は勉強するにしてもスポーツするにしても、またパーティで騒ぐことにおいても、総じて「タフ」です。

 

アメリカの大学生のアルバイトと就職活動 

日本の大学生に比べて、アメリカの大学生がそれほど時間を費やさないものもあります。それはアルバイトと就職活動です。

アルバイトについていえば、キャンパス内で働いている学生はたくさん見かけます。たとえば食堂の配膳や図書館の受付、設備のメンテナンスなどです。しかしたとえばコンビニなどでバイトするというようなことは一般的ではありません。何しろ勉強がたいへんですので、アルバイトをする暇がないのです。その代わり、長い夏休みにみっちり働く学生は少なくありません。アルバイトは英語でpart-time jobといいます。「アルバイト」はドイツ語に由来する言葉で、アメリカでは使われません。

就職活動は、日本の大学生のようにリクルートスーツを着て説明会から面接へと駆け回るというようなことはありません。新卒の一斉入社というものもありません。やはり勉強が忙しく、またGPAも大切ですので、卒業まではともかく学業が最優先です。

在学中にインターンシップ(internship)に参加するなどしてコネクションを築いておく、というくらいのことはアメリカの大学生でもしますが、就活にぼうだいな時間を注ぐということはありません。卒業してから就職のことをようやく本気になって考え始めるという学生もたくさんいます。就活のことをjob huntingといいます。大学にはcareer service officeという、日本の大学の就職課にあたるオフィスがあって、在学生や卒業生の就職のサポートをしてくれます。

 

今回はアメリカの大学生のありかたとして、いかに勉強中心であるかということを述べました。留学生も、アメリカの大学に行くと勉強にいやでも励むことになります。これまであまり勉強してこなかったという人も、勉強しなければならない環境に身を置くことで、自分でもびっくりするくらいに勉強熱心になるものです。

次回の「留学を成功させる英語」では、アメリカの大学への出願についてお話ししたいと思います。

 

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