カリフォルニア州立大学 新入生受け入れの凍結①
3月21日の日本経済新聞にこんな記事が載っていました。
3月20日、カリフォルニア州立大学の評議会(California State University Board of Trustees)が2013年春学期の新入生受け入れを凍結することを正式に発表しました。
新聞記事の補足をすると、California State University(以下、CSU)とはカリフォルニアに23校(23 campuses)ある全米最大の公立大学グループの総名称で、カリフォルニアにある州立の高等教育機関はCSUグループの他に、UCLAやUC Berkeleyなど10校が属するUniversity of California(UC)グループと、州内に112校あるコミュニティ・カレッジのグループ(California Community Colleges)があり、今回2013年の春入学の受け入れ凍結を発表したのはCSUグループのみです。
CSUの大学23校のうち、今年2012年春入学(1月入学)をすでに凍結した大学が15校ありましたが、今回評議会はCSUグループ全体としての入学凍結を発表しました。
例外としてCSUの大学に入学できるのは、州内のコミュニティ・カレッジからの編入生500名程度で、その受け入れ先は23校のうち8校のみに限られています。2013年春学期には16000人がCSUの大学に入学すると考えられていましたが彼らの進路はどうなってしまうのでしょうか。
(2011年秋学期に州内のコミュニティ・カレッジからCSUの大学に編入をした学生は約38000人)
なぜこのようなことが起こってしまったか。その理由はまずカリフォルニア州が財政危機に陥っているからであり、CSUグループがその州の財政に支えられている州立大学だからです。
2007年頃からサブプライムローン問題やリーマンショックの影響を受け、カリフォルニア州も経済危機の影響を受けました。州の歳入の約7割を住民(特に富裕層)からの所得税や消費税(カリフォルニアの消費税は他州と比べても高い)に頼っているカリフォルニア州。景気が後退すると州の財源を確保することが難しくなりました。歳入が減少したことにより、州政府は歳出のどこかを切ることを考えました。
その一つが州内の高等教育機関。
CSUは州立大学なので、その財源はGeneral Fundとよばれる州政府からの資金や学生が支払う学費や寮費などで賄われています。
(2011-2012年度の予算は約 71億ドル。そのうち約20億ドルがGeneral Fund)
ここ数年でもCSUの予算は年々削減されてきました。
2011-2012年度の予算は前年度から7億5千ドル削減されました。今年の11月に行われる投票でブラウン州知事が掲げている租税法案(*)が可決されなければ、さらに2億ドルのCSUの予算が削減される予定です。
*今後4年間消費税が25セント上がる+年間25万ドル以上収入がある人の所得税3%引き揚げ=90億ドルの歳入捻出の見込み
州政府からの予算削減に伴い歳入が減るCSUは、学費を上げて対応してきました。
学費が上がり続けるということは、学生への負担が大きくなるということです。2000年の歳入のうちGeneral Fundと学費の割合が8:2だったのが、2008年には7:3になり、2013年には5:5になるとも予想されています。
また、予算削減により以下のような問題も生じます。
予算削減
↓
教授や講師、大学職員も職を失う
↓
大学が提供できる授業の数が減る(=1人の教授が教える授業数が増える)
↓
① 同じ人数の学生が減少した数の授業を受けようとすると1クラスの学生数が増える=受けられる教育の質が低下
② 授業登録の競争率が高くなる=定員数オーバーになりやすく、受講したい授業・卒業に必要な授業が受講できない=卒業にかかる年数が伸びる(現在CSUの学生で6年以内に卒業している学生は約46%。全米の平均は54%)
CSUグループが新入生の受け付けを凍結するというようなことが続くと、近い将来現在約42万人いるCSUの学生の数が38万人にも減る可能性があります。これまで4万人以上もの雇用を生み出し、卒業生は教師やナースなどの州の将来を支える担い手として働いている、CSUグループはまさにカリフォルニアの労働力を生み出しているのです。
州の財政難をこのような形で学生が受けるのは、CSUはその使命である”To prepare significant numbers of educated, responsible people to contribute to California's schools, economy, culture, and future”を実行できていないのではないでしょうか。 学生たちは怒りの声を上げています。
http://www.youtube.com/watch?v=K4IYq6qMMFg
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