私立名門総合大学
アイビーリーグとして知られた以外にも、アメリカには多くの名門私立大学があります。MIT、カリフォルニア工科大学、スタンフォードなど、聞いたことがある人も多いでしょう。こうした名門私立大学には以下のような大学が挙げられます。
カリフォルニア工科大学/California Institute of Technology (CA)
通称Caltech(カルテック)とも呼ばれる工科大学。小規模ながら全世界に名をとどろかす研究大学として注目される。かつてはアインシュタインやファインマン、ポーリングといった世界的な科学者が教鞭をとり、これまでに30名以上のノーベル賞受賞者を生み出している。
カーネギーメロン大学/Carnegie Mellon University (PA)
鉄鋼王A.カーネギーと金融王メロンにより設立。コンピュータ施設と工科系の分野で世界的に有名。全米初の演劇のプログラムを設けた大学でもあり、アートの分野にも強く、工学とアートの融合が多様性と変化を生み出している。世界的に有名なロボティクス研究所は、NASAや国防総省の依頼をも請け負う。
デューク大学/Duke University (NC)
ゴシック様式の教会がそびえるウエストキャンパスと、グレゴリアン様式の建築美が落ち着きをかもすイーストキャンパスの2つのキャンパスからなる荘厳な雰囲気の大学。世界一の研究所用地面積と博士号取得者数の割合を誇る研究学園区域「リサーチ・トライアングル・パーク」の一角をなし、卒業生の多くがこの三角地帯で活躍する。
ジョージタウン大学/Georgetown University (DC)
首都ワシントンDCに位置し、全米初のカトリック系高等教育機関としての歴史をもつ大学。キャンパス外の膨大なリソースには、DCにある250以上の図書館、世界最大の博物館であるスミソニアンなどが含まれ、キャンパス内では多様なバックグラウンドをもつクラスメートたちとの交流をもつ機会に恵まれる環境にある。
ジョンズ・ホプキンス大学/Johns Hopkins University (MD)
ドイツの大学をモデルとし、世界で初めて大学院教育で博士号(Doctor of Philosophy)を授与し、大学院中心の教育期間として生まれた大学。いままでにたくさんの卒業生や教授、講師がノーベル賞を受賞し、研究機関として大きな強みをもつ。公衆衛生分野をやはり大学院課程として全米で初めて設けた大学で、コロナ禍においてその力をいかんなく発揮した。栄養学にすぐれ国際栄養学術大賞を受賞した実績をもつなどもしている。
マサチューセッツ工科大学/Massachusetts Institute of Technology (MA)
世界中の技術者の粋が集まる大学。通称MIT。キャンパスは巨大な工場のようになっている。いわゆる「変わり者」が多い大学。卒業生は単なる位置技術者として終わらず、分析力、判断力を兼ね備えたリーダーとして各界で活躍する。卒業生の1人、アナン元国連事務総長がノーベル平和賞を受賞したのも一例。
ニューヨーク大学/New York University (NY)
東部有数の大規模私立大学。その名のとおりニューヨークのマンハッタン、若いアーティストたちが集うグリニッジ・ビレッジに位置し、大学をあげて芸術への理解と支援をしている。大規模大学にありがちな官僚的なイメージをもたれがちだが、2001年の同時多発テロ時には、現場から遠くない寮に住む学生のためにホテルを借り切り、彼ら1人ひとりに200ドルのカンパをするなどの迅速ですばらしい対応を見せている。
ノースウエスタン大学/Northwestern University (IL)
世界的に有名で先端をいく科学研究・開発、全米でベスト1に輝く演劇プログラム、世界から学生が集まるビジネススクールKellogg School of Managementなど、分野を問わずに優れた教育を提供する。大学院生には研究機関として、大学生にはリベラルアーツ教育機関として、それぞれの理念が融合された総合大学として、しばしば「中部のアイビー」と形容される。車で10分走ればシカゴのダウンタウンというのも大きな魅力。
ライス大学/Rice University (TX)
「南部のアイビー」と称される、南部屈指の私立総合大学。研究に重点をおいた総合大学の割には規模が小さい。Kiplinger's Personal Finance紙でBest value(教育の質の高さに対して学費が低い大学)ナンバー1に選ばれた。世界の先端を誇る設備と優秀な教育陣がそろい、ノーベル賞を受賞した教授が1年生の授業を受けもつのさえ珍しくない。
スタンフォード大学/Stanford University (CA)
「シリコンバレー発祥の地」として有名なこの大学は、シリコンバレーの1企業として、実践的な「金儲け学」を教育し、教授が優秀な学生を巻き込んで会社をつくってしまうことも珍しくない。いまでも世界をあっといわせるベンチャービジネスが多く誕生している。ビジネス以外のあらゆる学問分野でもすぐれたカリキュラムを設けている。いわゆる「大学」の枠にはまらず、学生たちの声や要望、世界情勢に応じてカリキュラムや学則が変更される柔軟でオープンな気風も大きな魅力。
タフツ大学/Tufts University (MA)
「研究」と「教育」の両立が実現されている稀有な大学。研究一辺倒でアシスタントに授業を任せがちな教授もいる総合大学の中で、タフツの教授は優れた学者、研究者である以上にすばらしい教育者でもある。国際関係の分野では全米でほぼ不動のトップを誇る。アイビーリーグ校の補欠組を軒並み引きぬくことで知られ、「すべり止め」「二番手」としてどこか地味な印象を抱かれがちでもあったが、いまではその汚名も払拭され、学生の満足度が高いことで名を馳せるまでになっている。
シカゴ大学/University of Chicago (IL)
大学院中心のリサーチ(研究)大学。創立以来、一大学機関としては世界一の数のノーベル賞受賞者を輩出している。世界初の核融合実験、ジェットストリーム、ウラニウムの発見、経済学分野でのシカゴ学派の誕生など、世界的に有名な学術研究で数多くの成果をあげている。
ノートルダム大学/University of Notre Dame (IN)
カトリックの精神を重んじる大学。アイビーリーグ校に勝るとも劣らない入学難度の高さで知られる。学生たちに"Notre Dame Family"の一員としての意識をもたせ、その家族意識を「コミュニティ意識」「伝統」「カトリックの教え」の三本柱によって支える。1,250エーカーの森と湖に囲まれたキャンパスは、それだけで1つの独立した学園の理想郷を形成している。アメリカンフットボールのメッカでもあり、通算26回のナショナルチャンピオンは全米最多である。
ワシントン大学セントルイス/Washington University in Saint Louis (MO)
中西部有数の総合大学で、「中西部のアイビー」と形容されることもしばしば。レベルの高さ、教授の質の高さ、学生の勤勉さなど、どれをとっても全米トップレベルであるにもかかわらず、それほど知名度、評価も高くないことで知られる隠れた名門総合大学。総合大学としては規模がそれほど大きくないため、1年次から教授の研究に携わることができるなど、比較的フレンドリーでプレッシャーの少ない教育環境が実現されている。
(※ リベラルアーツ・カレッジ、総合大学、私立大学、州立大学などのアメリカ独特の大学の違いについては、アメリカの大学の種類などを参考にしてください。)