1.アメリカの名門大学が求めるもの
アメリカの名門大学は、どのような学生を求めているのでしょうか? 彼らが求める学生像わかれば、そのような学生になるべく留学の準備を進めればいい、ということになりますから、まずはこの辺りから考えてみましょう。
1-1.日本的な発想では太刀打ちできない?
アメリカの名門大学の役割をひと言でいうと、「リーダーの養成」です。
そして彼らが考えるところのリーダーとは、「バランスよくものごとを考えられる人」です。
何か1つのことに秀でているのではなく、理系・文系の枠を超えたさまざまな知識をバランスよくもち、自分と異なる価値観を柔軟に認めることができる、そんな人がリーダーとしてふさわしいと、アメリカの大学は考えるのです。
アメリカの名門大学に合格する人たちは、勉強ができるのはもちろんですが、スポーツもよくやっています。楽器を弾ける人も少なくありません。そして自分が受けてきた教育を社会に還元しようという意識も強く、ボランティアにも精を出しています。
こうして考えると、一発勝負の受験だけで入学が決まる日本の発想では、なかなかアメリカの名門大学には太刀打ちできません。
1-2.語学力だけではない、合格の条件
では、アメリカのエリート校に留学するには何が必要なのでしょうか?
アメリカの大学の入学審査においては、それまでの成績や課外活動などの実績、本人の性格や表現力、他者からの評価などが問われます。
英語はできて当たり前。そのうえで、ユニークな表現力や修辞力が問われます。ハーバードではTOEFL®テストも課していません。
アメリカの名門大学に合格するための一般的な条件を挙げてみましょう。
- 成績が抜群にいいこと(5段階で最低でも4.5以上)
- SAT®(アメリカの高校生が受ける共通テスト)のスコアが高いこと(留学生は受験が免除されることもある)
- 論理的で魅力的なエッセー(出願の際に提出する自己アピールの作文)が書けること
- 課外活動(部活やボランティアなど)で活躍していること
- 高校の先生などからすばらしい推薦状をもらっていること
- 独創的なアイデアをもっていること
- 人間としての総合力・魅力に富むこと
- 世界を舞台にリーダーとして活躍しようという意気込みがあること
- 社会意識が高いこと
これらすべてを達成するためには、日ごろから、学校の成績をきちんと維持し、課外活動などにも積極的に参加し、読書やクラブなどを通じて多角的な視点を養い、いい推薦状をもらうためにも先生と仲よくしておくなどの戦略が必要になります。あわててキャンプに参加したりしても、その意図が見破られると、かえって不合格になりやすくもなります。
そしてこの達成のためには、情報収集を含めて長い時間がかかります。
アメリカの名門大学への留学をめざすのであれば、高校3年生になってあわてて準備を始めてもなかなか間に合いません。中学生くらいから、意識して日々を過ごしていかなければなりません。そして、世界中からあこがれのまなざしが注がれるアメリカの名門大学に合格するために、「他のだれでもない私の魅力」を、じっくり磨いていく必要があります。
なおアメリカはレベルが高い大学ほど学費も高くなる傾向があります。その代わり優秀な学生(ぜひともわが大学に迎え入れたいという学生)に対してはたっぷりの奨学金を与えて入学させています。日本は世界的に見ると裕福な国ですから、経済的に困窮している他国からの留学生と比べると、奨学金を獲得できるチャンスが必ずしも大きいわけではありませんが、どんな経済的な支援を受けられるか、積極的に調べてみるといいでしょう。