日本の大学を卒業してアメリカに留学する3つの方法
みんなと同じ行動をとらなければ大きな非難を受けるのが、いまの日本の若者たちです。
学校に行かなければ本人も親もむずかしい立場に立たされるし、髪が黒くなければ怒られるし、大学4年生になったら就職活動をしなければ、これも非難を受けます。
就活しなければ負け犬?
就活しないと「逃げている」と言われるのです。
こんなに一斉に就職活動をすることが、そもそも世界基準からいえば異常なのに、それが人間のとるべき唯一の道だといわんばかりです。
それでもいまのように、企業のほうが人手が足らなくて、どんどん内定が出るようならいいのですが、私の息子が就活した頃は、いわゆる「就職氷河期」で大変でした。
卒業式のときにお母さんたちが「中小企業にしか就職できなかった」とため息をついておられるのを不思議な気持ちで眺めていましたが、いまもって負け犬の烙印を消せない人がいるんですね。
就活よりも留学を選ぶ理由
・自分はまだ社会に出る準備ができていない
・就活そのものに疑問を感じる
・いままでとは違うことにトライしてみたい
・親が「もう2年くらい何かやってもかまわない」と言ってくれた
・力をつけて将来は大学院に行きたい
などなど、就活をやめてアメリカ留学する理由はいろいろあります。
しかし、「就職活動をやめてアメリカに留学したい」なんてことを言うと、教授からでさえ「逃げているんだろう」と言われる始末。
同級生からは「おまえ、おかしいんじゃないの?」と言われたりもします。
でも、こういったのは日本だけ。
アメリカの大学生は、そもそも勉強がたいへんで卒業前に就職活動する時間もありません。
どんな仕事に就くかは卒業してゆっくりしてから考える、というのが普通です。
大企業とマスコミが牛耳ってきた日本社会
外資の企業の面接会などで、企業から「うちは経験のある者しか採らない」と言われて、「それじゃ新卒はどこで経験を積めばいいのよ」とわめいている学生がいますが、だいたい仕事のマッチングなんてそんなものでしょう。
日本では、企業も「いま採用しなければ」、学生も「いま採用してもらわなければ」と思い込むことに不思議を感じないで、マスコミもわぁわぁ騒いでいるんですから、まるで「自分で何も考えるな」ということですよ。
いくら「自分で考える人間を育てる」なんて言ったって、社会の仕組みがこんなんじゃぁ、どうするんですか。
だいたいマスコミそのものが日本の典型的なサラリーマン企業で、いまや所帯が傾いているという、現在の日本を象徴するものではないですか。
大企業が問題を起こし、いままであった業種がどんどん消える時代です。
銀行が必要なくなるなんて考えたことあるかしら? 銀行に就職して勝ち組になったと思っている人たちも、この先どうなるのかしら?
この頃になって、やっと日本のマスコミも、「就職・結婚して、マンションを買って35年のローンなんていう生活にさよならした人たちがベンチャーを始めて、日本の産業の中心に踊り出してきた」といったことを報じ始めました。
日本の基幹産業といわれてきた自動車業界も、自動運転だの電気自動車だのといって、自動車会社じゃないところが参入しているんですよ。
日本の大卒者がアメリカ留学する3つの方法
さて、日本の大学を卒業してアメリカに留学するのに、大きく3つの方法があります。
1.アメリカの大学で第二学士を取得する
まず、アメリカの大学に3年生として編入し、セカンドバチェラー(第二学士)を得る方法。
基本的には、日本で卒業した学部と違う専攻を選ばなければなりません。
たとえば、偏差値で法学部に入ったけれど結局こういうのはキライなんだということがわかった、じつはアートや音楽、演劇などにチャレンジしたいといったケースです。
2.アメリカの大学院に進学する
2つめが、アメリカの大学院に行く方法。日本の学部と同じような分野で、成績がよく英語力もある人の場合です。
日本の大学で心理学を専攻していて、アメリカの大学院ではカウンセリングを勉強するとか、政治学や経済学を専攻していて、大学院で国際関係学を学ぶといったケースです。
3.アメリカの大学に編入し、卒業「しない」
3つめが、アメリカの大学に編入するけど「卒業しない(セカンドバチェラーをとらない)」方法。
本当は大学院に行きたいけれど、日本の大学の成績が悪い・英語力が低い・日本の大学の専攻とは違う分野に進みたい、という人の場合です。
この場合は、まずアメリカの大学に3年生として編入し、1、2年で成績を立て直したり、英語力をつけたり、大学院で学ぼうとしている分野の基礎をつければいいので、アメリカの大学を卒業しなくてもかまいません。
たとえばコンピュータサイエンスの分野は、アメリカはとても強いので、まず大学に留学して基礎を身につけるほうが望ましいというケースです。
アメリカ留学する意味
アメリカの大学や大学院で勉強を始めると、あの就活は何だったのか、受験勉強は何だったのか、そういうことで悩んだ自分がおかしく思うはずです。
また人生なんて、受験や就活で決まるわけではないってこともわかるはずです。
18歳のときに受けるペーパーテスト、22~23歳で受ける面接で人生すべてが決まるなんてありえません。
ただ、そういう風に思い込まされる雰囲気が蔓延しているだけのこと。
ホーキング博士って知ってます?
彼は「これから温暖化が加速して人類は地球に残ることができない。いますぐ他の星を見つけるべきだ」と警告しています。
それを裏づけるデータも出てきています。
彼は「人間は人工知能にとって代わられる」とも言っています。
その通りで、いまや人間がやっていた仕事が機械やAIにどんどんとってかわられています。
こんな時代に、私たちはどのように生きていけばいいのでしょうか?
まだ何が好きかもわらかないまま、何に向いてるかもわからないまま、就活をしますか?
そして、いつまでも「みんなと同じ」でいいのでしょうか?
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。